しっかり秋らしくなり、空も高く青くなりました。子どもとの散歩も心地よい季節にもなりました。
家庭でお子様と一緒に一日を過ごしてらっしゃる方、是非子どもたちを散歩に連れ出して下さい。別に公園でなくていいです。近所を散策するだけでも子どもにとっては新しい発見があり、また体にとっても大きな価値があります。是非子どもさんとお外に出ましょう。
 ところで前回「子どもの育つ力」を強くするために全身運動が必要と書きました。今回はその続きで、睡眠を取り上げます。
この睡眠については前にこの欄でお話をしていまして重複する部分も多々ありますがご了承ください。
 最近子どもたちの就寝時間が非常に遅くなってきています。我園の園児たちも結構遅くまで起きている子が多くいるようです。
人間の体はホルモンによってコントロールされています。そしてこのホルモンは人間の中にある体内時計や外的・内的刺激に基づいてその分泌内容を変えていきます。子どもはよく熱を出しますが、これは体内に侵入した病原菌を退治するために体がホルモン分泌を変え、抗体ホルモンを分泌させることにより熱がでるのです。このことは病原菌で熱が出るのではなく、病原菌を退治するために体が熱を出すということなのです。このように人間の体は健康に生命を維持できるように調整機能を持っているのです。
そしてこのホルモンは昼と夜とでは分泌を大きく変えます。それは日中元気に体が動くように、夜は日中たまった肉体的疲労を休めるためにそして回復させるための分泌をするのです。そしてこれは人間のもつ体内時計によってコントロールされています。ではその切り替えはというと、日中の活動する為の分泌は朝6時前頃から夜8時頃までで、それ以後は体を休める為の分泌となります。ところが夜遅くまで起きていて、朝遅くまで寝ているとこの分泌が狂ってしまい、育つ力を弱めてしまうばかりか、それ以外にいろいろな問題を引き起こすことになります。
その引き起こす問題とは、日中の全身倦怠、疲れやすい体、集中力の欠如、思考の散漫、不安定な感情、学習能力の低下、内臓疾患の発生等々、並べればきりがないほどあります。これらの症状を発生させる病気として現代の医学においては、自立神経失調症とか時差ボケ症候群とか言われています。当然これらの病気の原因がこういった人間の代謝リズムのおかしさだけではありませんが、大きな要因になっていることは間違いありません。
大人でもこれだけの問題を起こすのですから、発達途上の子どもたちにとっては想像以上の影響があるのです。
でもこのことを言うと「早く寝ろとはいうのですが寝ないんですよね」と答えられるお母さんたちによくお会いします。本当に寝ないのでしょうか。私は子どもが寝れないんだと思っています。隣の部屋ではテレビの音がガンガンなって、人間の歩き回る音も聞こえ、子どもにとっては気になってしょうがない状況と考えられます。この状態で子どもに寝ろと言うのが酷のようにも感じます。子どもが安心して寝れる状態を作る必要を感じます。せめて子どもが寝付くまでテレビを消しませんか?大人の欲求にこだわった生活が子どもの生活を壊していることも多く感じています。何の為にビデオがあるのでしょうか・・・・。
こういった積み重ねが子どもの育ちを弱くしているのです。
子どもだからこそ考えなくてはいけないこと、守らなくてはいけないことがあると思います。
高度な難しいことをしなさいと言っているつもりはありません。人間として健康に生きていける環境は、子どもにとっても大人にとっても同じなのです。
「早く起きて早く寝る」このことが子どもの育つ力を強め、子どもの今後の育ちにより良いものになるのなら楽なもんだと感じます。
人間の体を休めることは生きる為には絶対に必要なことです。いつでも寝れば回復すると考えるのは、ちょっと甘いと言わざるを得ません。大切な事は体が休もうとする時に体を休めることが必要なのです。
人間というのはやっぱり自然物なんですよね。自然の摂理に合わせた生活をしなくては健康に生きては行けないのです。
子どもが大きくなって「あの時に・・・」と後悔しなくてすむよう、今を考えましょう。              
子どもの育つ力 2

No.6 (h13.9)