足の遅いでっかい台風も去り、暑い夏が戻って来ました。でも朝夕は少しずつですが涼しくなって来まして、ツクツクボウシの鳴く声を聞く時期にもなりました。ゆっくりですが確実に秋が来ていることを感じます。
 さて先日赤ちゃんのクラスの先生が、赤ちゃん体操の解説を書いて赤ちゃん組の保護者の方へ配りました。これは現在赤ちゃん組の子に何らかの問題があるからではなく、これから赤ちゃんが発揮する「育つ力」をより強固なものにしたいと思ったからです。
今回はこの子どもの「育つ力」についてお話しましょう。
どんな子どもも生まれながらに、内在的な「育つ力」というものを持っています。この育つ力は、子どもが成長・発達をしていくときの原動力です。ご存知のように子どもは環境(人や物)を通じ・活用しながら自身の力で育っていきます。赤ちゃんの寝返りや立ち上がり・歩行、言葉の習得など最たる例で、親が直接手を入れなくてもどんどん出来ることを増やしていきます。上の年齢で言うならば、運動能力や記憶力・思考力・集中力もそれにあたります。そしてその「育つ力」が強いと、子どもの育つ環境が多少まずかったり不足しても、それに影響されず力強く育っていきます。
ところがこの「育つ力」が弱いと、子どもにとって必要な環境や援助を自分のものに出来ず、成長・発達において弱い育ちを作ってしまいます。それは体力や運動機能だけでなく、脳の発達や知的な発達にも大きな影響を及ぼします。さらに言うならば、鍛えても鍛えてもあまり大きな成果が得られないということも起こります。
よってこの「育つ力」の強弱によっては、子どもの未来が大きく変わってしまうほど重要なものなのです。
さらにはこの「育つ力」と人間の脳の活性化は同列にあり、密接な関係があります。
脳の活性化とは脳に刺激を与えることで、反射運動や思考回路を充実させることですが、実はこの活性化した脳が「育つ力」をより強固なものにしたり、弱い部分を修復したりする力を持っているのです。
ではこの脳の活性化をさせるにはどうすればいいのでしょう。
それにはまず子どもの体作りから始める必要があります。体作りにはいくつかの面がありますが、まず最初は体の動く部分いわゆる関節の全てを偏りなく動かし、動きを良くすることです。(赤ちゃん体操はこれにあたります)関節を動かすことはそれに関連する筋肉や神経系からの刺激も発生し、大きな刺激となって脳に届きます。なぜ全ての関節かというと、関節からの脳の刺激は場所によって脳の受け止める場所が違うからです。
よって体を動かす場所に偏りがでると脳への刺激も偏ってしまい、脳の活性化に偏りを発生させるでけでなく、育つ力の偏りも発生させてしまいます。
しかし通常の生活では関節を動かしているようでも、思ったほどは動かしてはいません。(関節の動きが小さいということです)それは走り回っている元気な子どもでもそうなのです。
一番良いのは体操です。体操は基本的に体の全ての関節をしっかりと動かすようにプログラムされているからです。我が園でも毎朝子どもたちに体操をさせるのはこの理由からです。
全身の関節を動かす全身運動をしないと、子どもたちの成長・発達、そして「育つ力」に偏りを作ってしまうことになるからです。
そしてこの偏りの一番恐い事は、通常は一見普通に見えるのですが、何かの事があった時に弱さを露呈してしまうことです。
子どもの持つ潜在的な力を、発揮させるも消滅させるも子育て次第であると言って過言ではないでしょう。
さあ、明日から子どもも大人も年寄も、一日一回体操をしてはいかがでしょうか・・・・。               
子どもの育つ力

No.5 (h13.8)