梅雨も明け、いよいよ夏本番となりました。
 毎日暑い日が続いております。大人もですが、子どもはもっと汗かきです。水分の補給はこまめにお願い致します。
 
 ところで、前回テレビが子どもを育てていると書きました。今回はそのテレビの害についてお話しましょう。
 テレビは情報を収集したり、疲れを癒す娯楽として、現代社会に欠くことの出来ない重要なものとなっています。
 でもテレビの害については、「目が悪くなるから離れて見なさい」と言われる程度の害しか認識されていないように感じます。しかしこれだけなんでしょうか?
 実はもっと多くの害をテレビは持っています。
 人間の脳は簡単に説明しますと、五感といわれる感覚機能から情報を収集し、その情報を脳の中の受信センターに送ります。受信センターではその情報を分析し、その人間がとるべき行動を検討します。検討が終了し行動の決定がされると、各運動機関に対しどういうふうにしなさいという指令が出ます。そしてその指令通り身体が動きます。こういったメカニズムで人間の身体は動くのです。ですから人間の目や耳・皮膚・鼻・口は外部情報を集める為のセンサーともいえます。そしてこのセンサーに強い刺激があると脳に大きな刺激となって届きます。そしてこういった強い刺激はいろんな部分に影響を起こします。
大きな音を急に聞いたりすると心臓がトカトカと早く打ったり、子どもが夜あんまり騒ぎすぎて興奮して寝れないとか、おねしょをしてしまうとかがそれです。
こういったはっきりと原因がわかるとき人間は、落ち着こう、休もうといった、身体や精神を安定させる行為を要求します。
ところがそれらの刺激が慢性化してくると、人間の脳は刺激を受けながら反応拒否といった五感からの信号を受け付けなくなります。これは踏み切りの近所に住むとだんだん電車の通過が気にならなくなることでもわかります。これは音はしててもその音を意識しなくなるという状態です。しかし意識しなくとも音は耳が聞いておりその信号を脳に送り続けているわけですから、自分の知らないうちに脳が疲れてしまいます。
脳への刺激として一番大きいものは目からの刺激で、特に色と動きに対し強く反応(興奮)します。そしてその興奮を受け続けることで、慢性的なイライラや怒りを発生させるのです。ちょっとここでテレビを思い出して下さい。テレビは色がコロコロ変わり映像も細かく動き・変わります。これらは人間の脳に対し非常に大きい刺激を発生させます。ところがここがテレビの怖さなのですが、内容に集中している関係で疲労感を感じることが出来ません。ですから長時間・毎日見れるのです。
しかし脳に対する刺激はずっと続いているわけで、自分の意識外のところで脳の興奮が続いているのです。その結果自分で意識していないイライラ感を持つことになります。特に子どもの場合は脳の活動も活発で、刺激を大人以上に受け入れる体制になっている関係から、イライラ反応も大きく、精神不安定の状態を引き起こします。最近簡単に「切れる」子どもたちが話題になりますが、その原因の一つにこういった刺激過多の生活があると考えられます。刺激過多の生活は、本人の知らない・感じられない内に脳の興奮レベルを高く維持することとなり、ちょっとしたことでも喜怒哀楽が大きく表われたり、トラブルの頻繁な発生を生むのです。
テレビは必要ですが、静かな本当に脳の休まる時間を作ることはもっと必要と考えます。               
無意識の興奮

No.4 (h13.7)