さて今月は先月の続きで、感情変化の大きい子についてお話しましょう。

 感情変化の大きい子の共通した特徴に、人の話が聞けないということがあります。

 現実的には当然のことながら、人の話を聞くより自分がしゃべっている方がはるかに楽です。
 聞くという行為はこのことが知りたいという強い欲求があったり、もしくは聞いていておもしろくてしょうがないという時は楽ですが、それ以外の場合は結構忍耐がいります。しかしこれが出来ないと集団生活に適応することが出来ません。最近増えてきているLD・ADHDと言われる子のほとんどが、この聞くという行為が出来ません。この聞くという行為ですが、実は幼児期の聞く行為の積み重ねによって身に付きます。さらにこの積み重ねの一番重要な鍵は、親の話を聞く積み重ねです。

 親の話を聞くということは、親が指示をして子ども従わせるということではありません。親と会話するということです。親といろんな話をし、いろんなことを聞くという積み重ねが大切なのです。今でもしている家庭は多いのですが、子どもが寝るときに親が本を読んであげる、もしくは時間を見つけて本の読み聞かせをするという行為が、この積み重ねのスタートなのです。親がテレビを見ていて気づいたら子どもが横で寝てたなんていうことは、最悪の状態です。

 ある学者が「家庭生活、特に親子関係に関してテレビが大切なことをことごとく奪ってしまった」と言っていましたが、その通りと感じます。親子でお話や一緒に遊ぶのも最近はテレビが親代わりをしています。もはや親が意識して子育てをしないと、ただただ日常の親の満足の為の生活をしている限り、子どもはどんどん変になっていってしまいます。

 私は子どもが大きくなった後、ああすれば・・・・、こうすれば・・・と後悔している親をたくさん見てきました。そしてさらに、健康に生まれたにもかかわらず、親が子どもを障害児にしてしまった親もたくさん見てきました。

 後になってやりなおしがきかないのが子育てです。大切なのはいつ大切さに気づくかですよ。
「 感情の起伏の激しい子 2
        (園だよりから) 」 


No.37 ( 06.3 )