今月より「テレビ」についてお話をします。
 実は私が講演等で「テレビを消しましょう」と言い出して10年以上になります。
 このことは私の大学院での恩師である故河添邦俊先生が、今から30年近く前に「テレビが人間社会や個人を壊していく」と警告を発せられて以来、その門下生である私たちが折々に訴えてきたことなのです。
 ただその河添先生が警告を発せられた頃は、そういった危機感やそういった意識すらなかった時代で、もっぱらテレビの内容について論議されていました。よって川添先生の警告はどこの分野の研究者やマスコミ等にも問題として取り上げられることはほとんどありませんでした。
 しかしこの河添理論を検証すればするほど「テレビ」という存在の脅威は、我々にとっては危機せまるものでありました。
 そのことが土台で講演等で「テレビを消しましょう」と言い続けてまいりましたが、最近では「またテレビを消せという話ですか?」と言われております。
 しかしこの考えに対する理解者はまだまだ少なく、科学的論拠を並べながらお話ししておるのですが、いまいちの反応しかないのも現実です。
 しかし確実に自体は悪化しており、正直なところテレビの影響でおかしくなっていると感じられる子どもたちが多く見受けられます。そしてそれらはどんな子かと言うと、一番多いのは人間関係が作れない子です。その他では親子関係のきずなといわれるものが出来ない。会話力の低下、向かい合えない、感情的に波が大きく切れやすい、パニック的なさわぎをする等々があります。また極端な例では小児神経症と診断される子もいます。
 そんな折2月7日付けの毎日新聞に日本小児科医会が「2歳児まではテレビ・ビデオの視聴を控えめに・・・・」という提言を出しました。
 提言は我々が昔から訴え続けた内容に近いものではありましたが、我々が訴えてきた内容でみればある一部でしかないのも現実ではあります。
 しかし今までこういった提言は無きにも均しい現状だったことを考えれば、よくぞ言ってくれたという思いはありますし、小児科医という立場が現代の子どものおかしさに気づかせたのかとも感じております。
 ただもっと前にことの重要性に気付き、もっと早くから対策なりが思考されたなら、最近の低年齢の子どもたちが起こす事件や、児童虐待といったものももっと少なく出来たのでは・・・・・と感じています。
 しかし現実は現実ですから、とにかく今から対処を始めるしかないと考えています。
 
 で、ここから本題ですが、まずはなぜゆえテレビが子どもたち(実は大人も)をおかしくしてしまったのかについてお話しましょう。
 テレビが与える影響については大きく分けていくつかの分野があります。
 その一つは、テレビという機械が子どもの脳の発達や感覚機能に与える害という分野です。
 二つ目は、テレビという存在が引き起こす家庭生活や家族関係への害という分野です。
 三つ目は、テレビというメカニズムが引き起こす子どもの心理・人格発達への害という分野です。
 この三つの分野の害が着実に現代の子どもそして大人を蝕んでいるのです。


 ここから一つ目の害をお話すると紙面の関係で途中で切れてしまうので、次回から一つ一つ解明していきます。
 大事なテーマですので、月2回のペースで書いていこうと思っています。
 今回から内容だと期待されてた方(たぶんいらっしゃらないとは思いますが・・・・)ごめんなさい。
 
 年度末は何かと忙しくって・・・・・・・
  
テレビの脅威 2

No.29 (04. 3)