子どもの育ちのアンバランスが発達障害を引き起こすとは前回申し上げました。
 今回はそのあたりから詳しくお話しましょう。
 子どもの育ちという面においてはいくつかの柱があります。
 この柱とは見てはっきりわかる肉体的(身長・体重・体格 等)な側面。そして知的(言語機能・学習能力等)な面。そして感覚・情緒面の3つです。
 この3つの育ちのバランスの悪さがいろいろ問題を発生させるのです。 
 しかしこの育ちの悪さは親にとっても心配の種で、この3つの分野に付いて親の対応を眺め見ますと、肉体的な育ちというのは先にも言ったように目で見てわかる部分ですから、他の子どもと比べて大きい・小さいという判断の元、親はそれなりの対策を早くからとります。ですからこの分野において気付かなかったとか、問題とすべきと感じなかったとかいう、族に言う「後になって」という問題の発生はほとんどありません。
 知的分野においては肉体的分野よりは少しファジーとなり多少危うさはありますが、小学校入学という大きなハードルがある関係で、遅ればせながらも小学校低学年の時期に何らかの対策がとられることが多いようです。
 ところが感覚・情緒面については個性・性格というものでひとくくりにされることが多いのと、親としての判断基準(比較すべき指標)が見つけづらい関係か、発見時期(何か普通の子と違うな・・・と感じる時)にかなりの幅(4-20歳くらい)があります。よって育ちの悪さをかかえながらも何ら対策も取られず大きくなってしまうことが多いようです。
 元来育ちの遅れや悪さというものは自然発生的なものではなく、必ず遅れたり質的な不完全さを発生させる原因があります。
 それは大きく分けると2種類で、子どもそのものに何らの障害があって、その障害が関連障害として各種の遅れ等を発生させる場合と、育ちの中で必要な対応や環境が与えられないことで発生する場合です。
 今回のテーマである発達障害というのは、後者が原因で発生し、感覚・情緒といわれる分野に育ちの悪さを発生させている状態のことを言っています。
 ではどのような原因かというと、育ちに必要な環境不足です。(基本的なものに関しては、バックナンバーの18-21を読んでみてください)
 発達障害における最大の不足している環境は人的環境です。
 特に親子関係におけるかかわりや会話、さらには家庭のあり方に起因しています。
 それらを項目的に並べてみますと、
 *乳幼児期からの目・耳に対する刺激過多。(テレビの映像やカーステレオ等での大音量、新生児期からの人ごみの中への連れ出し等々)
 *親子の会話や語り掛け、かかわりの不足。(向かい合いの不足)
 *子ども中心の家庭環境。(子どものいうことは何でもOK、わがまま放題が認められる)
 *間違った子育て思想。(勝つことが一番、強いことが一番、頭いいのが一番、その為には他を無視しようが足をひっぱろうが正当である)
 子どもがこういった環境を与えられながら育つと、必ず集団不適応状態、慢性的な情緒的高ぶり(病的ヒステリー)、そしてそれから発生する慢性的イライラ、他の人の話を聞けない、ルールが守れない、幼児的思考からの不離脱、乱暴、異常な執着、唐突な動き(理由が見えない)等々の状態を引き起こします。
 
 
 では、どういった環境が必要なのか・・・・・。次回書きます。
発達障害 2

No.26 (H15.11)