最近園の保護者や育児相談で、3〜5歳児の荒れてる子(乱暴・いじわる・うそつき・反抗的等)の相談が増えています。
 原因についてもいろいろありそうですが、一つ共通したことがあります。
 それは子どもが何らかの不安感を感じ続けているということです。
 子どもの活動は精神的な安定を基にたくさんの事を学びますし、安定した活動を約束します。
 ところが親との関係(親が自分を意識してくれてないのでは・・・等)や、所属感(家庭や学校、地域での遊び仲間等へ感じる所属感)が何らかの理由で満たされない場合、子どもは必ず反応を起こします。この反応が先に言った子どもの荒れや不登校等のひきこもり状態なのです。
 この不安感ですが、子ども自身が感じているのは事実なのですが、子ども自身が意識していないのが親の気にとまらない最大の要因です。
 親が子どもの不安感を感じられない限り子どもの行動は、親にとって単なる反抗的な態度や困った事でしかなく、結局そういった行動を力で(怒ったり無視したり等)押さえ込んでしまいます。このことで子どもはもっと不安を増大させもっと大きな反応を起こすのです。
 よってここで大切なことは、子どもの反応がどういったところ(原因)から発生しているのかをしっかり見極めるということです。
 子どもって本来わがままで、身勝手で、うそつきで、残酷な人間ですから、行動だけを見てこれは何かの反応だと決めるのではなく、年齢的な育ちを基準にそれが単なる子どもらしさの行為なのか、何かの不安が起こさせているのかについて判断しなくてはなりません。 
子どもの育ちの基準は3歳を過ぎると少しずつ社会性と言われるものが育ち、がまんすることが出来たり、配慮することが出来るようになります。
そしてこの育ちを阻害する大きな要因が先に言った子どもの不安感なのです。

 ではこういった状態を引き起こしている子に対する対処はどのようにすればよいのでしょうか。
 結果的に言えば「子どもが感じている不安からの開放」が必要です。
 
 対策としては、まず家庭の中にきちんとしたルールを設定してきちんとそれを守らせるという取り組みが必要です。
 ルールは単に人付き合いということではなく、起きる時間、寝る時間、食事のあり方等々多岐にわたります。こうしたこまかい家庭内のルールを守れるようにならないと、外において他とうまくやっていくことは難しいこととなります。
簡単に言ってしまえば「がまんをさせ、そしてそのがまんがみんなと楽しく遊べる秘訣なのだと覚えさせる」ことが必要です。
 そしてその指導で一番大切なことは、家族全員が決めたルールを守りあうということを見せることです。
 また一緒に遊んだり(ちょっと空いた時間でいいです)子どもの遊びに入れてもらってください。そして「どんなふうにするの?」等いろいろ聞いて教えてもらってください。
 さらに一緒に家庭内の家事をしてください(「これをやっててね」と仕事を与えるのではなく、お母さんのすることと同じ行為や流れの中にある仕事を一緒にするということにこだわってください。そこて「これはこうしてね」とか「すごい、出来るじゃない」等声をかけてあげてください)。
 また子どもが近くで遊んでいるときには必ずちょっと声をかけることをしてください。
 こういった行為を積み重ねていくと、子どもの内面に親は常に自分を見てくれているという安心感が芽生え、反抗的態度は少しずつ治まっていきます。
 年齢的には自立の時期で、強い自分、何でも出来る自分を感じたい時期ですので、いろんな話し掛けの中で小さい子をいじめたり出来ない子に対して力を誇持することが強い子ではなく、出来ない子の変わりにやってあげたり、がまんをすることが出来るのがかっこいいことだということを教えてあげてください。
 このような親のアプローチは子どもの所属感(字分にもちゃんとした家庭内での役割があるんだという気持ち)を発生させ、親は自分を常に見てくれているんだという安心感を発生させていきます。
 親にとって困る行為を怒るより、そういった行為をしない子に育てることが大切です。

 親として再度意識してください。「荒れる子イコール迷っている(不安な)子」なのです。
荒れる子

No.24 (H15.8)