だんだん暑いと感じる日が多くなりました。
 この暑さがピークに近づく頃、7・8月は我園では3・4・5歳の混合クラスが始まります。2ヶ月間だけなのですが異年齢の交流の機会が与えられます。そしてこの混合クラスが終わる頃に必ず保護者の方から「混合クラスになって子どもの言葉が悪くなった」とのお叱りを受けます。特に3歳児が4・5歳のおにいちゃん・おねえちゃんの言葉を真似ることが大きな要因のようです。
 
でも最近の子どもたちの言葉や会話を聞いていますと、言葉の乱暴さや会話になってない会話(単語の羅列や接続詞や主語がない)が多く見受けられます。特に若いお父さん・お母さんに育てられている子ほど顕著です。3世代同居家庭の子には少ないようです。
そしてこの傾向は幼児の時期だけでなく、小・中・高の生徒にも同じことが言えます。
この原因にはいろいろあるのですが、一番の原因は親のしゃべる言葉です。
時に一番をテレビの影響とおっしゃる偉い先生もいらっしゃいますが、テレビの影響は単なる流行語を使う程度と感じています。
 
 言葉は耳学問で、聞いている間に覚えていくものです。これは算数等の学習に頭(思考)を使うのと違い、耳から言語知識として頭の中に刷り込んでいくといったものなのです。よって字も書けない子どもでもしゃべることが出来るのです。このことは言葉を覚えるための教科書は、子どもの周りで言葉を発する大人や子どものしゃべる言葉なのだということです。我々の業界で「バカヤローと怒鳴る親の子に、おバカさんとやさしく怒鳴る子はいない」という話があります。子どもは親のしゃべる言葉・口調・会話、全てを子どもは吸収して言葉や話し方を覚えるのです。
 こう言うと混合保育等で「まわりの子どもがきたない・乱暴な言葉を使うから・・・・」と周りの子どもの責任を主張される方もいらっしゃいますが、子どもからの影響の言葉は親が注意し、指導することである程度はおさえられるのです。
 よく「うちの子は言葉が悪くって・・・」とおっしゃる保護者に出会いますが、そのほとんどで親が自分のしゃべっている言葉を意識していません。
自分たちが家庭においてどんな言葉を使っているのかを意識しない限り、子どもの言葉を良くすることは出来ません。特に子どもの前で夫婦喧嘩でもしようものなら・・・・。
 
 前にも言いましたが、最近大人の使う言葉が乱れてきています。
 相手に伝わりさえすればいいということではないということを知ってください。
 人間社会は言葉を媒介にコミュニケーションを図る世界です。この社会に言葉が育てられないまま出て行くことは不適応を起こす可能性が非常に高いということです。
 言葉の教育の主役は親です。学校や幼稚園・保育園での指導はほんのおまけ程度にしかならないことを知ってください。

 我が子の将来に大きく影響する分野です。しっかりと考える必要があります。
ことばの科学 1

No.22 (H15.6)