前回より、子ども自らが育つ力を養うために必要な環境についてお話をしています。
今回は前回言った必要な4つの環境の一つである「物的環境」についてお話しましょう。

 物的環境とは子どもの使うおもちゃや育児器具のことで、大切さについてはいろんなところで言われているのであまり詳しく言ってもなんですので、大切なポイントをいくつか紹介しましょう。
一番目はそのおもちゃや器具が子どもの発達年齢に合っているかどうかです。
このことについては実年齢と発達年齢という2つの見方を必要とします。
実年齢とは実際の年齢のことで、発達年齢とはその子の発達が今どの状態にあるかという判断の仕方です。
大切なのは後者の発達年齢で判断するということです。
子どもの発達状態に合わせた形で提供することが必要です。それは子ども自身の発達の個人差を許容するということです。
二つ目は、その与えるものが子どもの育ちにとって必要な物かどうかの判断です。
これは結構吟味を要するもので、これがおざなりになっていることは多いことです。
例えば0歳の時期にテレビは必要ありません。しかし色や音の変化があるので興味は示します。このことでテレビをつけっぱなしの部屋に赤ちゃんを置いたり等結構あります。
本当に子どもの育ちにとって必要なものか・・・、効果のあるものか・・・考えるべきでしょう。
三つ目は、安全です。
怪我をしないような物にという配慮は当然なのですが、まだまだ身体機能が未発達の時期ですから、思わぬところでころんだりすることがよくあります。転んだ時に出来るだけ怪我がないような対処が必要と感じます。
また、年齢が下がれば下がるほど物を口に運ぶ習性が強くなりますので、口に入れてはいけないもの(タバコや小さいもの)は子どもの手の届かないところにおきましょう。
そして3歳未満の子の場合階段やちょっとした棚等からの転落事故も多いので、階段のある家庭では柵等で対策をしましょう。
さらに3歳未満の子の死亡原因の1位は、実は風呂場等での溺死なのです。
ちょっと目を離したすきに・・・・ということが多いようです。風呂場の浴槽に水をためない、もしくは風呂場へ入れないような工夫をする必要があります。
風呂場といえば入浴中の洗い場での転倒も怖い事故です。
人間の頭は前から当たることを想定して頭骸骨の前部は非常に硬く厚くなっています。ところが後頭部や首の付け根は、日常の行動でダメージを受ける可能性が少ないせいか薄く、首にかけては保護する骨もありません。そしてその首の付け根には小脳という運動機能をつかさどる脳があって、ここにダメージを受けると運動機能障害や下半身麻痺等の障害の発生になります。後ろに転んだときの怪我は大きいということです。
すべりやすい場所の子どもには注意をはらって欲しいと思います。
以上のように子どもの周りにある物は、子どもにとってプラスになったりマイナスになったりするものが多くあります。元気なすばらしい発達を子どもにさせたいなら、周りにあるおもちゃや家財を今一度点検されることをお勧めします。

次回は「人的環境」です。
子どもの育つ力と環境 2

No.19 (H15.1)