「子育ては環境保障である」とは、私が常々言っておる言葉です。
 それはどういうことかと言いますと、子どもは自力(子どもに本来備わっている育つ力)で育ちます(これは赤ちゃんが、立ったり歩けるようになっていく姿を思い出していただければ納得いくと思います)。しかしこの自力だけでは、子どもの育ちは細く軟弱なものになってしまいます。
よってこの子どもの自力(育つ力)をより強くしっかりしたものにするには、それなりの材料が必要になります。
その材料とは、子どもが育つ上で活用するものであり、それが親が用意すべき環境といわれるものです。
子どもは自分及び自分の育つ力をとりまく環境から大きな養分を吸い取って、子どもの持つ育つ力を強化し、それを土台に次の発達を目指すのです。
この力が弱いと発達が遅れたり、発達しても弱い発達となり、子どものいろんな面に弊害や障害を引き起こします。
また与えられる環境が誤ったものであったりしても子どもの育ちは変化し、前記同様おかしな子ども・気になる子の発生につながります。
実は子どもの環境からの吸収力は非常に旺盛で、たくましささえ感じるものなのです。
ところが子どもには環境を選び・吟味する力はありませんから、たとえ子どもにとって必要のない、また害になるものであってもどんどん吸収してしまうのです。
このことが原因で、「困った子」とか「育ちが変な子」といわれる子が現在非常に数多く見受けられます。
最近の事件(神戸の事件、バスジャック事件、少女監禁事件、小学校乱入事件等々)の犯人もほとんどこれで、一般的に言われる精神病患者ではありません。
育つ過程において適切な環境が与えられず、特に性格形成の発達そのものがゆがんでしまい、通常の人間の発想や思考とは違った形の思考・発想しかできない人間(俗に云う性格異常・人格障害とも云う)に育ってしまったことが原因で、考えられない事件を引き起こしています。
人間として育つということは、単に肉体的に育つ事ではなく、精神内面的なものが共にバランスよく育つことが必要なのです。
そしてその為には適切な環境が、子どもの育ちのレベルに応じて設定されていかなくてはいけませんし、それを提供するのが親であり社会であると思っています。
よってすばらしい子どもを育てる為の子育てとは、子どもの育つ力をしっかりしたものにする為に、その時々に一番必要な環境を与え、その環境から大きなものを吸収させるいとなみであると感じます。

ではその子どもの育つ力をより強靭なものにする為の環境とはどのようなものなのでしょうか?
それは、物的環境、人的環境、空間的環境、時間的環境の4つです。

次回からこの4つの環境について詳しく説明していきます。
子どもの育つ力と環境 1

No.18 (h14.12)