8月になりました。毎日暑い日が続いております。
でも年々夏の暑さが厳しくなってきているように感じています。温暖化は着実に進んでいるということでしょうか。
 さて、今月は這い這いについてお話しましょう。
最近小学生で「疲れやすい子」というのが話題になっています。
その理由についていろいろな先生がいろいろ言っていますが、私はその理由を這い這いの不足と考えています。
実は這い這いというのは、その後に立ち・歩き・走るといった人間が2本足での生活を可能にする為の基礎作りの発達的行為なのです。そしてこの這い這いの量が、その後の姿勢や運動能力をしっかりしたものにするか軟弱なものにするかを決めるのです。
人間の直立というものは何の力で支えられているのか考えてみましょう。
人間の頭は身体の中で一番重い部位です。そして2本の足で直立した場合、その重たい頭を支えているのが首・肩・背骨・腰骨・膝関節・足首関節そして足の裏です。人間が2本の足で立ち歩こうとすれば、これらの部位のしっかりした発達と充実が必要です。よって人間はまずこの機能を作る為に生まれてからの約15ヶ月をついやします。(動物的メカニズムです)
この期間をこの視点で眺めると、先月書きました首の座りをスタートに首・肩の動きとそれを支える筋肉を作ります。そして寝返りという行為で背骨と腰骨の発達を促します。その後這い這いで背骨の湾曲と膝・足首関節を作り、それをへてつかまり立ち・直立・歩行へと発達的進化をとげるのです。この間に起こる発達は当然のことながらどれも必要で欠くことの出来ない発達なのですが、そんな中這い這いは特別に重要なものです。
先にも書きましたが重たい頭を支えるために人間の身体は、背骨が内側(おなかの側)に湾曲するようにします。それは人間の背骨というものが体の中心にないからで、その湾曲が頭の重さを分散して腰にかかる重量を軽減し、そのおかげで飛んだりはねたり出来るのです。
もし背骨が湾曲しないで直立だったとしたら、当然重たい頭が前方へたれることになり、それでは前が見えませんからあごを上げます。当然首・肩・背骨への負担は大きく増え当然立っているだけで大きな疲労となります。さらに腰にも大きな重さが特に前方に向けて(頭が前にたれてきてあごを上げる形になりますから)重さがかかり、そのままでは前に転ぶしかありませんから腰を前に突き出そうとします。そうなると腰と足がまっすぐにというわけにはいかなくなり、膝・足首に大きな負担をかけることになり、動きも鈍くせざるを得なくなります。
そうならない為の一番の基本は背骨を湾曲させ、バネのような強さを持たせる以外はありません。
そしてこの力を作る方法は這い這いしかないのです。
で、ここで一つ恐い話を・・・・
実は人間という動物は非常に適応力の強い動物で、機械でしたら歯車一つが機能しないと全てがまともに動かないものですが、人間の能力の器用さ(恐さ)で、適当にあらゆる機能を変化させて何とか人間の機能を保持しようとします。そしてそれはその体の持ち主本人にも気付かせない行為で、いかにもまともに動いているように見せる動物なのです。
このことは本人も見えないところで、動きや生活に適応するために本来の動きとは違った動きで形だけ整えてしまって、見た目結果オーライ(本当は結果オーライではないのですが・・・)という風にしているわけです。
でも実際は通常の機能(人間としての正しい機能の使い方)とは違った機能を育て活用しているわけで、それは必ず何かの形で身体機能をゆがめたり、他の機能に大きな負担を与えたりします。
這い這いを少ししかしなかった子、まったくしないで立ち上がった子等々、よく聞きます。結果としてそれでも子どもは立ち歩いている訳ですからそのほとんどの親は何ら心配をしていないのが現実です。
しかし現実は・・・・、
「疲れた・疲れた」を連発する子どもたち。転びやすく、足のかっこうの変な子の増加、集中力がなく散漫で落ち着かない子、これらのほとんどの子が姿勢が悪く、運動機能の柔軟性に欠ける子です。
全ての原因が這い這いのみにあるとは思いませんが、這い這いの不足が大きな影を落としていることは容易に察する事が出来ます。

量が増えたので続きは次号で・・・・。
次号はその対策について「今からでも遅くない・・・」を書きます。
這い這いを考える

No.15 (h14.8)