4月も半ばを過ぎ園内もだいぶ静かに落ち着いてきました。
 そしてやっと今月の子育てアドバイスが書けるほど私の気分も平常に戻ってまいりました。
 今月は前回の続きです。

 2.脳の働きを良くする。

 食べるという行為は身体のたくさんの部署(筋肉や骨)の動きに支えられています。特にあごの動き、歯をささえる歯ぐき、舌の動き、飲み込む時の喉の筋肉の使用、また自分で食べる場合は手・指・腕の機能の活用をします。こういった部署の動きはそのまま脳に届きます。
実は大脳生理学の世界では食べるという行為が脳に与える刺激量は、人間が普通に動く時より多いと考えられています。そして特に食べるという行為は、運動機能のまだまだ未発達な幼児の時期であっても可能な能力である関係上、脳の発達や活性化の為にも大きな役割を持っています。
簡単に言えば食べるという行為そのものが脳を活発に動かし、活性化させていくのです。だから食べることは大切なのです。
しっかり食べ、その際にしっかり噛む、大きく口を開ける等が大きな役割を持っています。
ところが最近問題が起こっています。
それは食べても脳の活性化に繋がらない食文化の氾濫です。
りんご等の丸かじりをしない、食べるものはみんなやわらかく、水分の多い食べやすいものが増えています。そしてそのことで子どもの食べ方にも変化が起こっています。
園の給食時間に子どもたちを見に行くと、大きい物は食べない、歯で千切らなくてはならないものもだめ、口に入れたらくちゅくちゅと唾液でやわらかくして飲み込む、大好きな麺類はほとんど噛まないで流し込んでしまう。といった状態の子が多く見受けられます。
実はこういったほとんど歯に力を入れて噛むということのない食は、ほとんど脳の発達や活性化に寄与しないのです。
必要なことは噛むという行為なのです。そしてこの噛む力が不足してくると、思考を弱めたり、記憶力を落としたり、頭の回転が全体的に鈍くなってきます。
よく食べるから、食べやすいから、と親の愛情で与えてらっしゃる方も多いようですが、これらは間違った愛情と言わざるをえません。
歯はものを噛む為に、そして引き千切る為にあるのです。そしてその歯の能力を十分に発揮し活用することで脳へすばらしい刺激が届くのです。

やわらかい頭(思考や判断力・ひらめき)は、やわらかい食物では作れません。
硬いそして大きい食べ物こそがやわらかい頭を作るのです。

頭は勉強だけで作るものではないことを知って下さい。
食べることで育つもの 2

No.12 (h14.4)