2月はにげると言われますが、その言葉通りさっさと過ぎてしまいました。
 子育ての大変さについて何回か書いてきました。ちょっと飽きてきましたので今月は違う話題をお話しましょう。

 食べるという行為は人間が生きていく為には絶対的に必要なものです。
そして健康に生きていく為には栄養のバランスや摂取量も重要なキーワードとなります。
また歯も物を噛み・千切るということでは決してないがしろに出来るものではなく、虫歯の治療や矯正なども大切なキーワードでもあります。
一般的には食べるという行為に対しての話題は上記の2点に集約されています。でもそれだけでしょうか?
実は食べるという行為にはもっと他の重要な面が隠されています。
それはそしゃく力。いわゆる歯と歯ぐき、そしてあごの力の総合的な力です。
このそしゃく力は人間の発達にとっては非常に重要なものでいろんなところへの影響を持っています。その中のいくつかを紹介します。

1.言葉を作る。

そしゃくという行為はあごの形や歯の形を作っていきます。それは舌の動きや口の開きなど言葉をしゃべるのことの重要な機能なのです。赤ちゃんはミルクしか飲みません。でもこの時期息を吸う力をやしなっています。離乳食を経て普通食に移ることで噛むことが必要になり、噛む経験の積み重ねにより、アーウーという延ばした言葉でなくア・ウといった区切った発語が出来るようになります。その後各種の食べ物を食べる事で口を大きく開けたり微妙な舌の動きが鍛錬され言葉というものの発生になるのです。
ところが硬いものや大きいものを食べる機会が少なく、柔らかいもの、小さいもの等を与えられ続けますと言葉がはっきりしない俗に言うチャチチュチェチョといった言葉になってしまいます。こういうしゃべりをする子はほとんど口を大きく開けてしゃべるという事をしません。
100万ドルの片えくぼと言われることがあります。えくぼがかわいいと多くの男性にもてる女性も多いそうです。でもこのえくぼって実は口を大きく開ける経験の少なさの結果なのです。口を大きく開ける事の少なかった場合は両えくぼが出ます。人間は小さい物を噛む時にはどちらかの奥歯で物を噛みます。この偏りが片えくぼを作ります。結局はどちらも大きい物を大きく口を開けて全ての歯やあごの力を使って食べた経験が少ないということです。口が開かないということは言葉がはっきりしないという事だけでなく、大きい声が出せないもしくは声が届かないということです。よく舞台俳優や合唱をする人が口を大きく開け言葉をはっきり言う為にアイウエオアオと大きい声で練習をしますが、これはしゃべる時に大きく開かない口を開ける為にするのです。
人間のコミュニケーションの一番大きい手段が言葉です。その言葉を作っているのは日頃の食事なのです。
今の子に必要なのはりんご丸ごとかじれる口なのです。あなたのお子さんは食べれますか?
食べることで育つもの 1

No.11 (h14.3)