「 育つためのの土台 3 「歯とそしゃく力」 」
さて先月の続きです。
食べることすなわちそしゃくは栄養摂取だけでなく、脳の活力を育てます。実はそしゃくにより動く下あごの動きは脳への大きな運動刺激として届きますし、さらに強い力で噛んだり、大きな口を開ける事はより大きな刺激として脳に届きます。この刺激こそが脳を活性化させるのです。
この活性化というものは脳全体に及び、思考力や展開力(ひらめき)、記憶力の力を増大させるのです。昔から食べ物は100回噛めと年寄りが言っていたことを覚えていますが、それはてっきり消化の為に良く噛んでという意味のみと考えていましたが、大学院の時代に大脳生理学という学問を学ぶことで、消化だけでなく噛むことが脳の活性化に大きな力を発揮し、脳の活動の大きな力になっていることを知りました。脳が活性化することは情報処理能力も高まり、俗にいう「頭の良い子」をつくる一因になっているのです。情報処理能力と言っても何のことかわかりづらいのでわかりやすく説明すると、例えば学校での授業や家庭での親子の会話なんかで、先生や親の言っていることをしっかりと理解し、それに対応する動きを自分で決められ、記憶できるということです。この情報処理能力は学習面において大きな力を発揮します。もちろんそしゃくの力だけが有効であるとは言えませんで、身体の活動も当然影響を及ぼします。
でも少し考えてみて下さい。食事の時に何回噛んでますか? 私自身常に数えているわけではありませんが、手足の動きの回数に比べれば雲泥の差で噛むことの回数が多いと思いませんか。ということは、噛むという行為が(口を動かすことも含む)いかに脳への刺激量、そして脳の活性化の為に寄与しているかがわかると思います。毎日確実に食事はします。でも運動となるとはたして毎日あるのでしょうか・・・。休みの日に家でゴロゴロ、じっとしてゲームというような日でどれだけ運動刺激を脳に伝えたでしょうか・・・。だからこそ確実にある食事の時間を大切に扱って欲しいと考えるわけです。 ただ、先月この欄で書いたように、口を大きく開ける、しっかりと噛む・噛み切る動きのない食事では何の力も発揮しません。柔らかい物、小さく切ったものばかり食べていると、脳の活性化どころか、脳の退化につながる恐れもあるのです。そしてこれは全年齢の人間に言える事なのです。老人でも脳を活性化させないとどんどん頭の回転や記憶力の低下に拍車がかかるのです。そしてここで一番大事なのが「歯」なのです。歯が虫歯等でしっかり噛むことが出来なければ何の意味もありません。歯を大切にすることは、脳の活動や活性化を守る事なのです。
そのうち永久歯が生えてくるから・・・・、という安心感は意味がありません。虫歯菌は虫歯が抜けても歯茎の中に残っており、次に生えてきた歯に付着し蝕みます。よって乳歯の時から虫歯にならないように対処する必要があるのですよ。

このコラムは、我が園の「園だより」に園長が書き続けている子育て講座の一部です。。
