さて発達障害の話も4回目となりました。今月はADHDです。ADHDとは注意欠陥多動性障害とも言われる障害です。この障害は最近増加傾向にあり、たくさんの幼稚園・保育園から困った子・気になる子として増加の報告があります。この障害の特徴は、不注意(ボーとしている・無気力)、衝動性(何かに反応して衝動的な行動をとったり、パニックに陥ったり、感情の起伏が激しい)、多動性(じっとしていられない、注意力が散漫で集中出来ない)という状態を示します。これをもっとわかりやすく言うと、不注意であったり、衝動的で落ち着きがない、という面は多かれ少なかれ誰にもありますが、こういった障害のある子はそれを極端にコントロール出来ないのです。たとえば「ちょろちょろ落ち着かず、ひとときもじっとしていられない」「人の話を最後まで聞かない・聞けない」「待つことが苦痛で説明半分で手をつけ失敗する」「優先順位がつけられず、あちこち手を出す」「うわのそらで何かと忘れ物が多い」「約束やきまりが守れない」「せっかちですぐにいらいらする」「おしゃべりが止まらない」等々です。いかがでしょう・・・。
原因については内部的要因(一種の神経障害)と外的要因(虐待やいじめ・家庭不和から起こる神経的不安・家庭環境の中にあるスピードや騒音等)が考えられています。
 私はこういった症状を軽減したりなくすことについては、先月紹介したLDの子どもたちに比べれば、はるかに家庭での生活の仕方の改善や子どもの扱い・かかわりの改善によって可能と考えています。
 その理由はこういった子のほとんどが発達がいびつであったり、生活の中での経験不足が原因で年齢に比べ幼いからです。不足した発達の為の経験を補充・再構築したり、子どもの精神的安定が図れる環境作りをすることで子どもの精神的発達のバランスを取り戻すことがこういった症状を押さえ込む重要なカギなのです。特に家庭内における騒がしさや慌しさは子どもの精神に非常に大きな影響を与えるので、特に改善を要する問題だと感じています。またこういった症状を現す子に何の対策もせずそのまま育てた場合、大きくなっての人格異常や思考障害、いわゆる最近発生している短絡的思考による犯罪の犯人のようなどこかいじけて偏った思考しか出来ない大人になる可能性が増大します。そうなってしまうと大変ですよ。
ではどのような改善が必要なのでしょうか・・・・・?
 とにかく一番大切なのは「親子のかかわり」です。これは発達障害にかかわらず、子どもの成長・発達に欠くことの出来ないことなのです。もっと言えば、このかかわりなくして子どもがしっかり育つことは考えられないのです。ところが最近このかかわりが足りていないと感じられる子がだんだん増えており、その子たちがいろんな問題を学校や社会で起こしています。もちろん事件を起こした当事者が一番悪いと言えるのですが、親の育て方でそういう事件を起こす人間になったのだとしたら・・・。そういった心痛を避ける為にも今すべきことをしっかりしましょう。
 第一にすべきことは、子どもと話をすることです。そしてこの時に何かをしながら(テレビを見ながらとか、携帯をさわりながらとか)話をしてはいけません。とにかく周りの雑音を消して、子どもと一対一で相手の顔を見ながら話をしましょう。またそれがうまくいかない時は、子どもの遊んでいるそばに行って、「それなーに?」と質問して下さい。そしてその返答をしっかり聞いて、そういったところから次の話のネタを探して、お話がし続けられるようにしてください。
 第二は、食事の時にはテレビを消して、家族みんなで話をしながら食事をしましょう。そして全員が食べ終わるまでは食卓を立たないというルールを作り、まず親から守るように努力して下さい。家庭のルールというのはみんなが守る約束事で、大人だから例外ということはあってはいけません。
 第三は、今日あったことを子どもから聞くのと同時に、親の生活の中に起こったことも子どもに話してあげましょう。そして こういった取り組みを根気強く続けることが、子どもに家族の一員であるという自覚を発生させ、ルールは守るものだと自覚させることにつながります。そんな中、親が親の都合で勝手をしないことが特に大切です。
子どもに家族の一員であるという自覚を感じさせることが、子どもの精神安定上一番大切であることを知って下さい。
   

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「 発達障害児の出現について 4 」

このコラムは、我が園の「園だより」に園長が書き続けている子育て講座の一部です。。

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