「 育つためのの土台 10 「体幹」 」
さて今月から子どもの運動機能(身体機能)発達についてお話しましょう。
今月は「体幹」です。
体幹とは読んで字のごとく体の幹の部分、いわゆる胴体のことです。この体幹はすべての体の動きの中心にあり、あらゆる動きの大元となります。あらゆるスポーツの選手にとって一番重要な部分で、なんのスポーツでもまず初めに体幹を鍛えることからスタートします。これはスポーツだけでなく、幼児期の子ども達の身体発達の土台ともなるもので、体幹がしっかり育たないと体のふらつきや、姿勢の悪さ、歩行のおかしさ、反射運動の弱さ、等々を引き起こします。さらに体幹が弱いと身体運動機能が低下することで脳への刺激も減少し、結果脳の活動(運動機能制御、知的能力)の低下も引き起こします。このように体幹をしっかりさせることは、2足歩行が移動手段の人間にとって非常に重要な課題なのです。
このように重要な体幹は、子どもの場合は成長と共にある程度体幹はしっかりします。ここである程度と言ったのは、ほっとくとしっかりとは育たないということなのです。乳幼児の場合どういう行為で体幹が育つかと言えば、まずは寝返りです。頻繁に寝返りをすることで腰の廻旋(ひねり)が鍛えられることで体幹がしっかりしてきます。次は這い這いです。這い這いは乳児にとって欠くことの出来ない運動で、首の固定や肩の骨の固定、上腕の筋肉をつける、体幹を鍛えるといった効果があります。乳児の時に這い這いを多くした子ほど体幹がしっかりし、その後立ち上がりの時期に姿勢のコントロールや重心の移動がししっかりしたものになります。逆に這い這いの量が少なかった子は、体幹がしっかりしないので、姿勢制御がうまくいかず、体のふらつきが3歳程度まで発生することもあります。また這い這いは背骨の湾曲を作るための重要な運動で、立ち上がり以降の姿勢制御にも影響を及ぼします。姿勢がおかしい子は常に前かがみになり、腰と首に大きな負担をかけますし、内臓の育ちにも影響を与えてしまいます。
さらに当然運動機能にも影響があり、運動神経や反射運動の弱さを発生させます。よって今乳児をお持ちの保護者の皆さんは寝返りや這い這いをしっかりさせて下さい。それ以降の年齢のお子様をお持ちの方は、這い這いをするような遊びや、ゴロゴロ遊びで腰の廻旋を鍛えて下さい。人間の体の運動機能の強化に遅すぎるということはありません。いくつになっても鍛えれば強くなります。意識して家族全員で這い這い遊びやゴロゴロ遊びをすることで、こどもは楽しく体を鍛えられますし、大人も身体が若返ります。
体をほとんど動かさないで済む便利で楽な生活の中、身体は確実に衰えていきます。これは大人以上に子どもたちには顕著で、運動神経や運動能力の鈍さを発生させ、発達途上の体に異変を起こしてしまうことも多いのです。大人はジム等で何とか衰えを遅くすることは出来ますが、子どもは衰えることを防ぐのではなくしっかりした運動機能の発達のために何かしらの方法で鍛えなくてはなりません。それを支えるのが運動遊びです。体を動かすことこそが発達途上の子どもたちにとって絶対に必要な活動なのです。さらにしっかりした身体の動きが活発な脳の活動を生みます。運動をしないということは子どもも大人も脳の働きを鈍くすることにつながります。現代社会での子どもたちの生活を眺め見ると運動機能を育て鍛えることが子どもたちにとって急務なことを知ってください。

このコラムは、我が園の「園だより」に園長が書き続けている子育て講座の一部です。。
