「 育つためのの土台 2 「あご・舌」 」


 先月言葉の発達に関連して歯の重要性についてお話ししました。今回はそれ以外の言語発達の土台についてお話しましょう。
 言葉というものは当然のことながら口でしゃべる訳です。そこで考えて欲しいのですが、首から上の部位で自分の意志で動かせるのは眼球とまぶた、くちびるとあごと舌だけなのです。それ以外のものは自分の意志では動かせないのです。歯であっても下あごと下の歯が動いているだけで上の歯は固定されています。ということは、食べることもしゃべることも下あごと舌を動かして形にしているのです。特に舌あごの動きは重要で、下あごが物を食べることやしゃべることの全般を担っていると言っても過言ではありません。この下あごの動きをそしゃく力と言います。一般的にはそしゃく力というのは物をかむ力として表現されることが多いのですが、実は言葉の発達にも大きな力を発揮しているのです。赤ちゃんの時は発達的にそしゃく力が弱いので食べ物は柔らかい離乳食になりますし、言葉も下あごを動かさないアーウーといった言葉しか出ません。1歳半くらいになるとある程度普通食が食べれるようになり、そのおかげでそしゃく力も強くなります。 (注 そしゃく力と下あごの動きや強さは同じものとしてとらえて下さい) そうなると言葉も少しずつ増えていきます。このそしゃく力の強さの発達がより複雑な言葉を使えるようにしているのです。
 ところが、ある程度大人と同じような物が食べれるようになっていても、いつまでも柔らかい物や小さいばかりを与えていると適切なそしゃく力が鍛えられず、その結果言葉の発達の遅れを発生させます。また常に柔らかい物や小さい物を与えると口を大きく開けることがなくなり、かみ砕くという食べ方でなく、唾液で溶かして食べるといった口の動きになってしまいます。そうなると常に口の中に唾液の分泌が必要以上に多くなり、言葉も濁音的なペチャペチャとした濁った言葉になります。(これをよく舌足らずと言います)そうなると口やあごの発達が遅れて、顔に対して小さな口になってしまいます。適切な発達では年齢と共に口は大きくなりますし、大きくならなければいけません。0・1歳児の口の大きさがそのままということは、それだけ適切に発達をしていないということなのです。また食べるという行為で重要な役割を担っているのが舌ですが、言葉をはっきりした言葉にすることも舌の役割なのです。
 子どもだから・・・・、早く食べて欲しいから・・・等で小さく切った物や柔らかい物を与えることはやさしい親心に見えますが、実は子どもの発達を阻害している行為でもあるのです。
 口を大きく開けなくてはならない食品や、しっかり力を入れて噛まないといけない硬い物を食べるといった食生活が必要で、それが言葉の発達の後押しをするのです。さらにあごの動きは脳刺激の観点では非常に重要で、あごの力が頭を良くする秘訣でもあるのです。
 このことについては来月で。

 

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このコラムは、我が園の「園だより」に園長が書き続けている子育て講座の一部です。。

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