「 育つためのの土台 12 「指の動きと脳」 」
さて今月は、指の動きと脳の活性化についてお話しましょう。
指の動きと脳というのは非常に密接な関係があって、指の動きで脳のいろんな働きの部位が刺激を受けます。典型的な例を言うと、老人ホームやデイケアなどで老人の活動や遊びとして「おはじき遊び」「ビーズの糸通し」「折り紙」等々をさせています。これは老人の認知症予防としての活動で、指を使うことで脳にたくさんの刺激を与え、結果それが認知症の予防になるからです。
実は指を多く使う仕事をしている(続けている)人で認知症の人はものすごく少ないのです。先日フジコヘミングという音楽家が92歳でなくなりましたが、92とは思えないシャープな会話や思考能力でした。その理由を本人が「毎日ピアノをひくから」と言っていました。これは毎日しっかりと指を動かすことで脳が活性化し、認知能力をしっかりと維持できている証なのです。
ただ老人にとっても指の動きは非常に大切なことですが、子どもにとっては老人以上に大きな重要性があるのです。
子どもの指の動きは老人と同様に非常に大きくて大切な刺激を与えますが、子どもの場合は脳が発達途上の時期なので刺激で脳を活性化するだけでなく、脳がコントロールするたくさんの機能を育てることになるからです。
では指の動きが育てる機能とは、反射神経や感覚神経、言語機能、思考力、集中力等々です。そしてその関係で我が園やその他の幼児教育機関においても、指がある程度器用に使えるようになる2歳後半より指を使う活動を多く保育に取り入れているのです。指をある程度器用に使えるようにすることは脳刺激を活発にし、子どもの育ちの多くの部分に影響を与えるのです。
そしてこの育ちの中の一番重要なのが言語発達の力です。
私が子どもの言語発達のレベルを判断する時に必ずチェックするのが指の動きです。会話における2語文から3語文の会話ができる状態と、親指と人差指を向かい合わせて2本の指だけで物がつかめるようになることと連動しており、指の動きが悪いと言語能力も遅滞するのです。また言語能力だけでなく子どものたくさんの能力を指の活動が支えているのです。 現代の生活の中で指を使うことが極端に少なくなっています。ゲームやスマホも指1本か2本しか使っていませんし、食事も箸ではなくスプーンの使用が増えています。余談ですがコンビニで丼物を買うと必ず箸ではなくスプーンを付けてくれます。今の若者が箸よりスプーンを求めることが多いんらかもしれません。
5本の指を広げたり握ったり、1本1本別々に動かすことが必要なのです。意識して動かすことをしないと指は使っているようで使っていないのです。是非子ども達には5本の指全てを使う活動をさせて下さい。
指の動きと言語発達の遅れは、育ちの致命傷になることが多いのですよ。

このコラムは、我が園の「園だより」に園長が書き続けている子育て講座の一部です。。
